未熟女でも大人になっていいですか?
あの日の高島のように祖父の手を温めてあげたいと思った。

泣くのを必死で堪えていると、元気ハツラツな声が聞こえてきた。



「仙道さーん!おめでと〜!」


パールカラーのスーツを着た音無さんだ。



「あら、本当に白無垢じゃない」


会った途端ガッカリと肩を落とす。


「だから、それでもいいですかと尋ねたじゃないの」


少し呆れ気味に返した。


「そうだけど、でもまぁいいか。一応白っぽいワンピースだから許そう。…で?お相手はどこに?」


「確か向こうでご両親やお婆ちゃんと話をしていましたけど…」


広い本堂の端を指差した。


「あの黒っぽいスーツ着た人!?きゃー!やっぱ本物はカッコいい!」


「写メ撮って来たら?」


「えっ!いいの!?」


「どうぞ。撮られても減るものではないので」


「やったぁ!行ってくるわね!」


意気揚々と声をかけ、燥ぎながら高島に携帯を向ける。

困った顔をしつつもポーズを取る高島の姿に呆れ、それでもやはり可笑しくて笑った。



「思った以上に盛大ですな」


赤い袈裟を身に付けたご住職が現れた。


「本日はお世話になります」


高島と一緒に礼をする。

昨夜のうちに菩提寺を訪れ、一連の流れは取り決めた。

神社で言うところの祝詞みたいなものを上げてもらい、それから入籍をすることになっている。


< 153 / 208 >

この作品をシェア

pagetop