未熟女でも大人になっていいですか?
「入籍後の『誓いの詞』は考えられましたかな?」


「はい。法要の日からずっと考えて、楽しかったです」


「それは良かった。では、楽しみにしておりますぞ」


意味含んだ笑みを浮かべ、ご住職は「始めましょう」と列席者に声をかけた。




「緊張するなぁ」


「ふふ。私もよ」



折り畳みの椅子に全員が座ったところで、ご住職からの説明が始まった。




「本日はお日柄も良く、ご列席頂いた皆様には深く御祝いを申し上げます。

本来ならば、お数珠の授与を行った後で祝盃を交わし、婚姻届への記入を致すところではございますが、

本日は略式婚の為、ご本尊様やお先祖様へのご報告の後、即座に届への記名を行います。

入籍後めでたく夫婦となりました二人から、皆様の御前で『誓いの詞』を披露して頂き、一連の流れは終了でございます。

暫しの間ではございますが、ご一緒に祝福して頂けますよう宜しくお願い申し上げます」


お辞儀をする住職に深く礼を返して、ご本尊や先祖への報告文が読み上げられた。

その深みある声を耳にしながら項垂れ、胸の内はドキドキとときめく。


『誓いの詞』をどうしようかと、高島と二人で散々迷った。

あれこれと案を出し合いながら決めた詞は、今の私達には相応しいものだと思う。


その詞を受け止めて人生を送る。

そうして行こうと心に誓った……。




「では、届に記載を」


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