未熟女でも大人になっていいですか?
白い紙が持ち込まれ、ぶるぶると指先が震えだした。

書き出す前に何度も深呼吸を繰り返し、何とか記名は済んだ。


その後で紙は保証人欄を記入され戻ってくる。


保証人の1人は高島のお父さん、もう1人は亡くなった父の兄である叔父の名前。

両家の親族の氏名が並んだ紙を見て、じぃーんと胸の奥が熱くなった。


目の縁から涙が零れ落ちそうになって、慌てて高島からハンカチが差し出される。

手渡されたハンカチを握りしめ、微笑みながら拭った。



「『誓いの詞』をどうぞ」


ご住職の声に緊張が走ったけれど、それ以上にワクワクしながら二人で作り上げた詞を読んだ。





「『私達は本日、皆様の目の前で無事にこの良き日を迎えることができました。

いろいろな偶然が重なった末に出会った私達でございますから、今後もこのご縁を大切にしていきたいと思っております』」




「時には派手に喧嘩をして」


『時には優しく語らい』


「お互いの笑顔を大切にして」


『喜びを分かち合いながら』


「手を取り、足を支え」


『どこまでも一緒に』



「『大人への階段を上って行こうと思います。


どうぞ宜しくお願い致します』」




詞の書かれた懐紙を折り曲げて畳んだ。

テーブルの上に戻し、2人で深く一礼をした。



列席者の方から温かい拍手が送られ頭を上げると、そこには涙と笑顔に溢れた人達の顔があってーーー



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