未熟女でも大人になっていいですか?
弾けそうなくらい元気の良かった音無さんは、豪快に泣きながら笑っていた。

ほっそりとした高島のお婆ちゃんは、顔中の皺を中央に寄せて泣いている。

その隣のいるお母さんは優しい笑みを浮かべて息子を見守り、お父さんは渋い表情を幾分緩めて頷いていた。


桜伯母さんが抱えている両親の遺影は静かな微笑みを讃えたまま、

「間違いなく幸せになれるから安心おし」

……と、励ましてくれているようにも思える。


それぞれの親族の顔を一通り見回し、もう一度しっかりと深い礼を返した。



側に佇む高島が私の手を握り、涙を拭いてくれようとしている。

ただ、それだけのことがこんなにも嬉しいとは、何も知らずに生きてきた。



ーーあの日、季節が初夏へと移り変わる前に出会った私達。




「こんにちは。初めまして。高島組です」


「たかとうぐみ………?」




今日からまた、新たなページが開かれるーーーーー。



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