未熟女でも大人になっていいですか?
番外編『ハニーな彼女と恋に落ちて』

ハプニングは突然に

…………ポトッ。


(ポト?)


右の肩口に何か落ちた。

まさか、鳥のフン!?と思いつつ、思わず服を確認してみる。



(何!?この黄色は……)


鳥のフンにしてはやけに明るい。

おまけに直ぐに染み込んだ。


「えっ!!シミ!!!」


ギョッとして空を見上げ、まさか…と思った矢先にまた降ってくる黄色い水。




……水じゃない。



これはどう見てもペンキ。



しかも、あろう事か蛍光塗料じゃないの!



「ちょっと!そこのあんた!」


足場の上に立つ男に向かって怒鳴る。


「は……?僕ですか?」


呑気そうに見下ろす。


「僕ですか?じゃないわよ!どうしてくれんのよ、このコート!買ったばかりの新品だったのに、ペンキの色が付いてしまったじゃない!」


「あ……」


「あ……じゃない!何とかして!」


「なんとかと言われましても……」


「とにかく早く降りて来てっ!!」


ぎゃあぎゃあ騒がしい女だと思われても平気。

だって、このコートは会社で働き始めて一番最初に買ったばかりの一張羅だから、形振りなんて構ってられないんだ。



ガシャガシャと音を立てて足場から降りてくる男。


年の頃は同じくらい。

身長は頭一つ分くらい向こうが高い。

薄っすらと日に焼けた肌、澄んだ瞳。

荒ぶれた様子もなく、どちらかと言うとバンビみたいな優しい顔立ちをしてる。


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