未熟女でも大人になっていいですか?
沈んだ声で落ち込む。


「い、いえ、あの、あれはもう忘れかけてたから……」


全くではないけれど、もうすっかり忘れそうになっていた。


「…そぉか。じゃあ何故イラついてる?」


「そ、それは」


話さないといけないだろうか。

かつての教え子から同窓会の案内状が届いたというだけで。


「話したくないなら言わなくてもいい。無理して聞こうとも思わねぇ」


もぐもぐ…と珍しく噛む。


「やっぱ苦いな」


こんな時だけ味わうな!



「…………きたの」


「タケシ?」


「違うってば!」


「ははは、ごめん」


「もうっ…」



軽い冗談を言って場を和らげる。

1人でなくて良かったと思う瞬間、高島となら分かち合えると思った。



「同窓会の案内状がきたの。以前勤めていた学校の卒業生から」


「ふぅん。それで?」


何事もないように聞き返す。

黙々と箸を進める高島を見ながら自分も酢豚を取り分けた。


「10年前に教えた子達で、私がクラスの副担任をしていたから招かれたみたい」


「へぇー」


「でも、行かないつもり」


「なんで?」


「今は繋がりないし、あの子達に会いたくもない」


「冷てぇな」


「だって、教師ロボットだもん」


「はっ!?」


やっと箸が止まる。

顔を上げた高島は目を合わせ、「どういう意味だ?」と尋ねた。


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