未熟女でも大人になっていいですか？
専門学校を中退して家を出た後、高島が今の仕事に就くまでの経緯を私は知らない。

彼も話そうとはしないし、ひょっとしたら話しにくいこともあるのかと思うから聞いたりもしない。


でも、私は高島に辛いことは全て話した。

怖さも苦しみも全て受け止めてもらった。


だから、本当は話を聞いてみたい。

家を出た後、どんな風に生活していたのか。

それから、師匠だという人の元で働いていた日々のことも。




「カツラぁ〜」


「ん？」


「来月の頭、土日で遠出しようぜ」


「遠出？ドライブか何か？」


「いや、ちょっとした旅行気分」


「旅行？」


「ああ。嫌か？」


「とんでもない！出かけるの久しぶり！嬉しい！」


自分でレンタカーを運転して出かけたのは、母がまだ生きていた頃だった。

お盆休みを利用して、２人で海辺のホテルに泊まった。


「じゃあ決まりな。お前、その時くらい明るい色の服着ろよ。いつものみたいに暗い色ばっか着ねーで」


「う…うん」


言われてみてハッとする。

そう言えば無意識のうちに暗めな色ばかりを買っていた。


「それから絶対にスカート履くこと！仕事は何でもいいけど、俺とデートする時は女らしくするように！」


「はいはい。了解！」


だったら、次の休みはショッピングに行こう。

高島と一緒に自分に似合う明るい色の服を探すんだ。


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