未熟女でも大人になっていいですか?
「フジちゃんがお嫁に行ってなくて良かったぁー」


「アホ、婿貰ってるかもしれないだろ」


「失礼なこと言うなよ」と突っ込む琴吹君に対し、上谷さんが「エヘヘ」と笑う。

笑いながらこっちを向いて「失礼しました」と謝った。



「いえ、そんな…」


目線を向けながら顔が引きつる。

笑い返そうにも上手く表情が作れない。


「え…と、あの」


話を続けようと立石君が声を発する。

ニコリともしない私を見て、少しだけ顔を強張らせた。


「あの……」



「カツラ」


後ろから高島の声がした。

振り向くと廊下の奥から歩いてくる。


「誰だった?客」


背中の近くまで近寄り、外を覗き込む。



「えっ、もしかして旦那さん!?」


上谷さんの声が大きい。


「違っ……」


否定しかけて止める。

婚約者だと言っていいのかどうか迷う。


「あの……」


何と言って紹介しよう。



「あ、あのね、教え子なの!」


細かいことは後からにして、取り敢えずこの子達を先に紹介してしまえばいい。


「この間、同窓会の案内状を送ってくれた子達。幹事なんですって」


オドオドする気持ちを隠して前を開けた。


「こんにちはー」

「初めまして」

「急に来てすみません」


各自がいろんな挨拶をする。



「どうも」


高島は一言だけ返し、目線を私に下ろした。


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