未熟女でも大人になっていいですか?
「イケメンと暮らしてたって言っていいなら」


琴吹君の言葉に苦笑する。



「いいぞ。特別に許す」


まんざらでも無さそうな顔をしている。

私の目から見ても、高島はかなりの自信家らしい。




「じゃあ撮りますよ!」


琴吹君の声がして、そっと肩を抱かれた。

その手の温もりを信じて、これからも並んで歩こう。



「フジちゃんの顔キレイ……」


溜め息を漏らすように上谷さんが囁く。


「…ああ。本当にいい顔してるな」


立石君の言葉を聞きながらシャッターが押される。



撮られる瞬間に笑う。



(私はこの人と、これからも笑って生きたいーー)




撮られた写真を確認して、高島が満足そうに頷いた。


「うん、やっぱりカツラは笑ってる方がいい」


自分も見てみろと腕を引っ張る。


小さな画面の中で、私は高島と一緒に笑っている。

深い傷もいつかは癒され、心の底から笑える日が来る。

抉られた痛みも苦しみも、高島とならきっと分け合っていける…と、そう信じた。



3人を玄関先で見送って扉を閉めた。

やれやれ…と息を吐いて向きを変えたら再びチャイムの音がした。



「奴ら忘れ物でもしたのか?」


高島と顔を見合わせる。


「さぁ、分からないけど出てみるわ」


廊下に置いていた足を下ろした。

カラカラ…と扉を開け、表に向かって声を発した。



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