未熟女でも大人になっていいですか?
「カツラ最高!」


声が弾んでいる。

苦しいくらいに抱きすくめられ、思わず腕をバタつかせた。



「悪い悪い」


悪戯っぽい笑みを浮かべて緩める。

その腕の中で思わず怒った。


「もうっ、いつもいきなりなんだから」


そう言いながらも心の奥底から感謝する。


高島が居てくれるから幸せなんだと感じる。

だから、あの子にも人生を大切にしてと伝えられた。



腕の輪から離れ、照れを隠した。


「今夜は何食べようかなぁ」


食べ物の話が一番し易い。

アオムシの彼と未熟女の私、2人の縁を結んだものだから。



「今夜は簡単な物にしよう。ビールも飲まねぇし」


「えっ!?どうしたの!?具合でも悪いの!?」


驚いた。飲むことが食べるよりも楽しみな人なのに。


「具合なんか悪くねぇ。今夜、あの続きをするから飲まないんだ」


「あの続き?」


「もう試験済んだんだからいいだろう」


「えっ…」


呟きながら思い出す。

試験中はナシだと言ったのは自分の方だった。


「……今日でないと駄目?」


狼狽える私を高島の眼差しが捕らえる。

期待に満ちあふれている瞳を見ながら弱り気味に言い訳を始めた。


「今日はまずいんだけど……」


「なんで」


「あの実は……」


どうしようかと悩む。

私を見つめる高島の眼差しを見返して、ゴクッと唾を呑み込んだ。


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