未熟女でも大人になっていいですか?
「会わせてくれるの!?」


「当然だろう。カツラを嫁にするつもりなのに」


「ご、ご両親には!?」


思わず聞いてしまった。

イクラのお寿司を摘みかけていた手が止まり、目線がこっちを向く。


「嫁にするつもりなら会わないとまずいでしょう?」


高島と家族が不仲そうなのは知っている。

けれど、会わずにそのままでいることもできない。


挑む様な目線を突きつけられる。

その目を見つめ返すと、やがて瞼を伏せられた。


摘もうとしていたイクラを頬張る。

もぐもぐと口の中で噛みしめ、行き来するご飯の塊が解れて無くなった頃ボソッと小さな声がした。



「連れて行くから心配するな」


後は一切喋らない。


この男は、そんなに家族と隔たりがあるのだろうか。




「うん…、嬉しい」


そう答えてみた。

高島は目線を上げ、私のことを睨む。

その眼差しに対し、フッ…と微笑みかけた。



「そんな顔で笑うな」


「どうして」


「襲いたくなる」


「それは困るわ」


「だったら黙って食え」


「はいはい。分かりました」


笑いを噛み締め食事をした。


いつもなら喧しく食べる男も今日だけはやたらと大人しい。

きっと久し振りに会う人達のことを考えて、あれこれと思案しているに違いない。





(師匠もご両親も一体どんな人達なんだろう……)


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