未熟女でも大人になっていいですか?
「高島さんって兄弟姉妹はいる?」


紙パックのジュースを飲み干し、思い出したように音無さんが尋ねる。


「うん、お兄さんと弟さんが1人ずついるって聞いた」


「2人とも結婚はしているの?」


「さぁ。それもよく知らなくて」


「呆れたぁ。どういう関係なのよ、2人」


「どうもこうもハウスシェアしている間柄?」


「結婚するんでしょう?」


「一応はね」


指輪は貰った。

言葉ヅラもそんなことを平気で言う。

師匠にも会わせてくれるし、実家にも連れて行くからそのつもりの筈だ。



確実に結婚するんだろうな…とは思う。

けれど、何故か実感も湧かない。



「仙道さん落ち着き過ぎ」


「そう?私は内心かなりバタついてるよ!?」


「幸せオーラが出てない」


「不幸なオーラでも出す?」


「そんなの出さなくてもいいからもう少しだけ燥いで。嬉しくなさそう」


「えっ!私は十分嬉しいよ!」


声を上げて驚いた。

音無さんの目から見ると、私は幸せそうではないらしい。


「だったらもう少し笑って相談してよ。何か悩み事でもあるみたいな顔しないで」


「あ……そ、そうね……」


悩んでも仕方のないことだと気づかされた。

高島と家族のことは、私が口を出せる関係ではない。


「とにかく、ご両親の前ではお淑やかにしとくに限るよ。特に一番最初は猫かぶるくらいで丁度いいから」


「う、うん。そうする…」


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