未熟女でも大人になっていいですか?
両親は私の問いかけに頷きもしない。

ただ優しく見守って、高島を信じなさい…と言わんばかりだ。


(会えば分かるっていうこと?それまでは放っておいてもいいの?)



「ふぅ…」


小さく息を吐いてロウソクを手で消した。

丁度高島がお風呂から上がり、キッチンへ来ようとしている。

その足音に耳を澄ませながら全ては任せておこうと決めた。



「カツラぁ風呂上がったぞー」


ゴシゴシと髪の毛を拭きながら入ってくる。

この最近にしては珍しい行動だ。


「お前も入れよ……んっ?」


仏壇の前に座っている私を視界に入れた。



「あっ、そうだ。俺も拝んで寝よう」


スタスタと足先を和室に向けて来る。


避けた私に代わり仏壇の前に座り込んだ。



「あの、ご報告しておきます」



ロウソクも点けずに話しかける。

その様子を黙って見つめた。



「明日こそカツラを頂きますから」


「ぶっ!」


思わず吹いた。


「の、望さん…!」


何という報告をするんだ、全く!


呆れる私を目の端に入れ、高島は言葉を途切らすこともなく続ける。


「もしも、俺が自分を抑えきれずにカツラを泣かせてしまってもどうか許して下さい。その代わり……」


急に黙り込んだ彼を覗き込んだ。

視線を彷徨わせているのかと思ったら、じっと目を閉じている。


心の中で続きを言っているのかと思い、知らん顔しておこうかと思ったらーーー


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