未熟女でも大人になっていいですか?
「もう出るの!?朝ご飯は!?」


「そんなのコンビニで上等!道が混む前に行こう。その方が運転し易い」


「九州まで車で行くつもり!?」


「5、6時間で着く。だから早くしろ」



さっさと玄関を後にする。

走り去って行く足音を聞きながら、唖然と扉を見つめる。



「そうだ。こうしてはいられない!」


早く顔を洗って服を着替えて……


頭の中でスケジュールを立てる。

高島と一緒に選んだ服を着て出かける。

その日をずっと心待ちにしていた。


鼻歌が出てきそうな程気分が華やいだ。

楽しい1日なる筈だと思うと、心まで晴れやかになってくる。


洗面をして部屋に戻る。

昨夜寝る前に掛けた服に身を包み、いつもと違う色のシャドウを付けた。

日頃は控え目なルージュの色も今日だけは明るいピンク色を選択してみた。



「よし、オッケー」


鏡の中の自分に満足する。

何処と言って代わり映えのない顔だけど、やはりいつもより嬉しそうだ。


「ふふっ。服も似合ってる!」


先週の日曜日、明るい色の服選びに行こうと誘ったら高島は意外にも喜んでついて来た。





「黒とか紺とかグレーじゃないやつ選べ」


協力と言うよりかは強制的に色を指定する。

どんな色が似合うか分からないと嘆くと壁に掛けてあるワンピースを指差した。


「あれにしとけ。あの色なら似合う」

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