未熟女でも大人になっていいですか?
勝手に決めつけて下ろさせた。

試着室の外で待ち構えながら何度も「早くしろ」と怒鳴られて着替えをした。



「あのね……スカートが短くて恥ずかしいんだけど……」

オズオズしながらカーテンの外に顔を出すと、「そんなことは何でもいいから早く出ろ!」と言う声と共にカーテンを開けられた。


驚いて慌てる私を鏡の方へ向け、ニヤリと口元を緩ませる。


「いいじゃねぇか。似合ってる」


ラベンダーカラーのワンピースは胸元にギャザーが寄ったデザインだった。

ウエストのところで生地が切り替わり、スカート部分は柔らかなジャージ素材でできている。


「カツラは普段からこんな色を着ればいいんだ」


明るいパステルカラーが似合うと言われた。

それならば…と、ブラウスも一枚購入した。

淡いペパーミントグリーンで手持ちのパンツにも合わせ易いと思った。



「明日はこれとネイビーブルーのスカートを合わせて穿こう」


30代半ばを過ぎて今更ながらのオシャレを楽しむ。

高島と暮らしだしてからの毎日は、何かと新しい発見をする日々だ。




「カツラぁ準備できたか!?」


大きな声が玄関先から聞こえてきた。


「はーい!」


負けないよう叫ぶ。




「行って来るね」


仏壇に手を合わせ、高島の待つ外へと飛び出した。




「望さん、お待たせ」


息を弾ませながら名前を呼ぶと、振り向いた高島は私よりも様になっていてーー
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