未熟女でも大人になっていいですか?
駐車場に着いて運転を替わった。

高島は助手席に座るなりスースーと寝息を立てて眠り始めた。



(やっぱり疲れてたんだ…)


替わって良かったと思いながら車を走らせる。

道路は思いの外交通量が多く、しかも運転の荒い大型トラックが追い越し車線を飛ばして行く。



(慣れない道路を無言で運転するのって緊張する…)


こんな思いをさせながら午前中、高島1人に運転をさせてしまっていたのか。



(望さん…ごめんね……)


ホテルに着いたら謝ろうと思った。


そう思いつつ走っていると、目の前に青い海岸線が見えてきた。

湾になって広がる港内には、無数の白い水鳥達が浮かんでいる。



「ふふっ、可愛い」


何気なく口走った声に気づいて高島が目を覚ました。



「…今、何処…?」


寝惚けた眼差しのまま外の様子を伺っている。


「間もなく宿泊場所のある町に着く頃よ」


ナビも無い車内で地図を広げて確認する。


「そうか」と呟くと、高島はまたウトウトし始める。



「よほど眠かったのね…」


ホテルに着いたら寝かせといてあげよう。

これと言ってやる事なんて無いのだし、夕食までは時間も早い。




(……いや、あるじゃないの!やることが!)


急にあのことを思い出した。

高島は旅行まで先延ばしにしようと言っていた。

だから、もしかすると直ぐにでも仕掛けてくることだってあり得る。



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