未熟女でも大人になっていいですか?
「別に疲れている訳じゃないけれど……」


自分の中で燻っている高島の過去が消えないのだとは言い難い。

ハッキリしない私を眺め、自分は風呂へ行くと言い出した。


「汗を流せば気持ちいいぞ。カツラも行って来いよ」


何故にそんなに勧める。

こっちはそんな気分でもないのに。



「……そうね」


仕方なく返事をした。

備え付けのクローゼットの中を開け、赤い帯と紺地の浴衣を手渡された。


「これに着がえろと書いてある」


「ここで?」


「当然だろう」


真顔で言うか。


「だったらあそこで着替えてくる」


ユニットバスの扉を指差して立ち上がった。


「待て」


当然のように呼び止められる。


「何?」


胸の動悸が速過ぎる。

高島は肘を掴み、自分の方へ引き寄せた。


「俺が脱がしてやる」


「いい。遠慮します」


「まぁそう言わず」


「いいと言いてるでしょ!自分で着替えるから離して!」


強い口調で拒否してしまった。

これと同じ様な行動をきっと他の女にもしてたに違いない。



「カツラ?」


不思議そうな顔をしている。


「ごめんなさい。ちょっと気分が悪くて…」


嘘の発言をして誤魔化した。

高島に触れられるのが怖い訳でもないのに、何処か気持ちがスッキリしない。


「1人で着替えてくるから先にお風呂へ行って」


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