悪戯な唇
「今年も優勝してくれよ」
金一封が祝勝会に…
「そういえば、トロフィーはどこにしまったかな?」
そうだ…1度、返還しないといけない。
「部長、確か第3会議室にあると思うので、後で取ってきます」
「そうか⁈山根君、頼んだよ」
「はい」
何気なく発した言葉に後で後悔するなんて思わない私は、お昼休みに取りに行こうと考えていた。
梨花と数人の仲間とお昼を食べに食堂へ行った帰り
「私、トロフィー取ってこなくっちゃ…」
「一緒にいこうか?」
「ううん…1人で大丈夫」
この時、心のどこかで彼がいるかもと期待していたのかもしれない。
だから、一緒についてきてくれるという梨花の言葉を断った…
無意識なのか、ホッとしている私がいる。
しかし、梨花の言葉に甘えておけばよかったのだ。
第3会議室のドアの前
緊張と期待からゴクッと生唾を飲み込みドアノブを回した。
薄暗い部屋
誰もいないことにガッカリしていた。
約束したわけじゃない。
いつも、悪戯に振り回されて、翻弄されているだけ…
そうだよね…
モヤっとした気持ちのままトロフィーを探し出す。