悪戯な唇
棚にあるダンボールの中身を探すのに夢中になり、廊下の足音に気がつかなかった。
ガチャリ
ドアが開く音に振り返ると廊下からの明るい光が一瞬差し込み、人影が見えた。
閉まると同時に薄暗い部屋に戻り、近づいてくる聞き覚えのある靴音に…高鳴っていく鼓動。
動きが止まったまま、近づく気配に全神経を集中していた。
ふわっと包むように抱きしめてくる腕は、誰なのか確かめなくてもわかる待ち望んだ男の腕だった。
「明日のビーチに何着るの?」
キスされると期待していたから、彼の言葉にガッカリしている私。
「……えっ、と…ロンTにハーフパンツで動きやすい服装ですけど…」
チッと舌打ちをした男は、荒々しく唇を塞いできた。彼の荒々しさに翻弄されるがままキスに夢中になっていた私。
着ていたブラウスのボタンを1つ、2つと外されていくことに気づいた時、抵抗する間もなく男の唇が首筋を伝いデコルテにまで降りてくる。
「……んっ、アッ」
痛いぐらいに吸い付く唇に、男の肩を押すがビクともしない。
なんで…
顎を突き出し痛みに耐えていると、男は突然しゃがみ、スカートを捲り上げストッキング越しの内腿に吸いついた。