悪戯な唇
ありえない…
なんなのよ。
先ほど、ときめいたことも忘れ、怒りでワナワナと震えていた。
許さない。
もう、キスなんてしないんだから…
始業時間になり、部長の机の上にドンと置く。
室内にいる人達と驚く部長に申し訳なく思うも怒りは収まらない。
「休憩中にさがしてくれたんだね。悪かったね」
「……いいえ」
失礼しますとお辞儀をして振り返り自分のデスクに向かう。
あの男だけは、わけ知り顔でこちらを見てニヤっとしている。
ムカつく…
わざと顔を背け席についた。
痕をつけた当の本人は、普段通りに仕事を進めているが、私は、頭の中でクローゼットの中にある服を思い浮かべ気が重い。
ビーチバレーボールには、風は禁物。
閉め切った体育館の中で学生の頃にきていたジャージを着る羽目になった。
首元までジッパーを上げて暑苦しいったらないだろう⁈
想像しただけで、ゲンナリとしてくる。
一体、なんの恨みがあるんだ?
翌日の朝
ビーチバレーボールチーム、補欠も入れて6人が集まったが、皆さん、半袖、ハーフパンツといったラフな格好で羨ましい。
「山根、気合い入っているな…」