悪戯な唇
理由がわからないまま、男とのキスに慣らされた唇は、気持ちとは裏腹に応えていく。
絡めとる舌に導かれ淫らに応えて舌を出せば、見つめあったままねっとりと2人の唇の間で舌を絡め夢中になっている始末。
互いに甘い吐息が漏れ、艶めいた瞳に全神経が甘く痺れる感覚が私をおかしくさせている。
どんどん淫らになるキス
お酒のせいなのか?
熱くなった唇のせいなのか?
路地の向こうに人の気配がするのに、お互いに止まらない。
キスをしながら耳殻を指先でなぞっていく男。
初めて触れる感覚にゾクッとし、微かに残っていた理性が吹き飛びそうになる。
キスだけじゃ物足りない。
抱いて欲しい……
口の中を容赦なく貪る男に翻弄され、自分の体が自分じゃないみたいに動かない。
唇が離れ、空中の酸素を取り込もうと必要に息継ぎをする私の頬にチュッとキスを落とされ、潤んだ瞼をまばたきさせ男を見つめる。
あんな荒々しいキスをしてきたくせに、乱れない男は、トロンと開いた私の唇を指でなぞり私に言い聞かせる。
「……いいな⁈…この唇にキスしていいのは俺だけだ」
コクンと頷く私に、優しい笑みを見せた。