悪戯な唇
「俺も…あの唇にキスして〜」
そこに私達がいると知らないで、男性達は会話をしながら通り過ぎていく。
チッ…
目を開ければ、苦々しく舌打ちし不機嫌丸出しの篠川さんと目が合う。
途端に後頭部を引き寄せられると同時に、彼と唇をあわせていた。
唇をこじ開け荒々しく進入してくる舌に翻弄され、ヒールで立っているのが辛くなりすがりつくように彼の首に手を回す。
キューと響くお湯が沸いた音に彼は動じることもなく、けたたましくなる高音を止めると淫らなキスを止めリップ音を立て何度もくちづけてくる。
その合間に
「なぁ、どうしてキスしてるかわかってるか?」
「この唇がキスしたくなる唇だから?」
かすれる声で答える。
「あぁ…いつもキスしたくてたまらない」
私の頬に手をあて
「お前だから…キスしたくて、他の男といるだけで嫉妬するし、さっきみたいな奴らがお前のことをあんなふうに見ているってだけでムカつく。……俺の気持ちいい加減わかれ。簡単に俺とキスする気持ちがわかんねーよ」
ドキドキが止まらない。
「簡単じゃない…好きだから、あなただからキスされるのを待ってるの」