悪戯な唇
「……すき」
今度は、はじらいながら唇が触れる指先の上で呟いていた。
何度もキスをした相手なのに、ベットの上にいるってだけで恥ずかしさで頬が熱くなりドキドキが止まらない。
彼はくしゃりと表情を崩し微笑むとマットに手をついて覆いかぶさるように見つめてくる。
胸があわさり彼が私の体の上に少しだけ預けてくる重みになんとも言えない至福感を感じながらも近すぎる距離に彼の肩を押していた。
そんな私を見てクスッと笑い緊張をほぐそうと喋り出す男。
「美羽…お前の気をひきたくて、あの夜、俺は賭けにでたんだ。ずっと触れたかったこの唇に触れた途端、自分を制御できないほど夢中になった。そして、ますますお前がほしくなった」
「……あんなふうにキスをする前に告白しようって考えなかったの?」
「俺に興味を持たないお前に告白したところで撃沈するのがわかっているのにか⁈」
確かに…あの時の私なら断っていただろう。
「俺がお前に夢中なようにお前にも俺に夢中になってほしかった。だから何度もキスを仕掛けた。拒まないから脈ありだと思いながらも、いつまでも一方通行な関係に悩んで、八つ当たりしてお前に酷いこと言って悪かった」