悪戯な唇

「私も、あなたから仕掛けてくるキスの意味がわからなくて悩んでた」


「本当にバカだよな…好きって言うチャンスはたくさんあったのに、お前にも俺と同じ気持ちになってほしいばかりに、キスを仕掛けて夢中にさせようとするなんて……」


「でも、おかげであなたの思うままになってるわよ」


「あぁ…」


意地の悪い私の言葉に彼は口角を上げ笑った。


「もう、なんで笑うのよ」


「美羽…俺の望みを叶えてくれるよな?」


「私にできることならいいけど…」


「もちろん美羽しかできないよ。だから、キスをさせて…」


視線を絡めたまま彼は、自分の肩を押している私の手を取り口元に持っていくと、指の第二関節を愛しく食むように5本の指全てにキスを落としていく。


「…好きだよ」


彼の艶のある声と仕草に私は羞恥心で、ただされるがままになるしかなかった。


悪戯に仕掛けてきた唇が、唇に触れる。


甘く何度も啄ばみ、蕩けるようなキスで夢中させておいて意地悪く離れていく。


濡れた唇を舐める仕草は妖艶で私を誘惑する。


「もっと……キスして」


悪戯な唇は口角を上げると貪るようなキスを仕掛けてきた。


そして、私は彼の思うままに堕ちていく。
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