悪戯な唇
数分前に重ねた熱に…感触に…疼いてしまった唇は言葉と裏腹に彼の唇を求めていた私は、チュッ、チュッと繰り返すキスに抵抗する気もないくせに、弱々しい声と胸を押す力で抵抗してみせる。
それが余計に男を煽るだけだとわからないまま甘い吐息を漏らし続け、しだいに長々と続くバードキスじゃ物足りなくなり、もっと甘く官能を揺さぶる情熱的なキスを求めて男の首に腕を伸ばしていた。
それを待っていたかのように男は妖しげな笑みを口元に浮かべ、唇を押しつけて甘噛みしてきたり、唇を食んだと思ったら舌で唇をなぞってくる。
余裕のある男に翻弄され、夢中になっていく。
とろけそうな甘いキス
この先が知りたい…
あなたとのキスは私の理性を保ってなくする。
一向にその先にあるものを求めてこない男にじれったくなり、自ら唇を開き男を誘うのに誘惑にのってこないまま離れてしまった唇。
なんで…
こんなに夢中にさせておいて終わらせるの?
離れていく男の顔と頬に触れていた手のひらが憎らしい。
頬を高揚させ艶かしく男を見つめた。
「……そんな顔するな。この唇は俺専用にしておけよ」
そう言って男の人差し指が唇に触れた。