悪戯な唇

「……うん、食欲より眠気が強いからいらない」


「…帰りに…何か買ってこようか?」


「お腹空いたら、コンビニでも行くよ。ランチ楽しんできて…」


「……じゃあ、行くね」


梨花は、不思議そうな表情を浮かべながらもランチへ行ってくれた。


さて、どうしたものか?


彼にどういうつもりか問い詰めに行くべきか行かないべきか?


もう、答えなんて出ているのに…


まだ、躊躇っているのはどうして⁈


2人きりになったらあの時のようにキスされるなんて自惚れているから?


第3会議室前
誰も使わない忘れ去られた部屋は、半分物置化としている。


ドアを開ける勇気がなくて立ったまま動けない。


やっぱり、無理…
逃げようと踵を返した瞬間、ドアが開き中に引き込まれていた。


あっ…
思った瞬間ガチャっとドアが閉まり、壁に背を打ち付けていた。


痛いじゃない…
怒りで相手を睨んだのに、目の前に立つ魅力的な男の両手が伸びてきて、頬をかすめ側頭部を押さえこまれたら、どうでもよくなっていた。


近づいてくる唇に自然と目が閉じていく…熱い吐息が唇にかかり待ち望んでいた唇に貪るキスに酔っていく。
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