悪戯な唇
キス × キス × キス
第3会議室でのキスから、彼のキスへの欲望は止まらないらしい。
昨日も、部署内で各自飲みたい時に飲めるようにと、毎朝当番でお茶やコーヒー用に給湯室でお湯を沸かしていた時だった……
背後に立つ気配に気づいた時には遅く、チュッと頬に朝の挨拶のようにキスしていく彼。
一昨日なんか、梨花とのランチの帰りエレベーターの中で偶然、彼も同乗してきた。彼は、四隅の奥に行き背を預け立つから私の背後にいる形になる。梨花は、篠川さんと一緒に同乗してきた男性と楽しそうに私の前で会話して盛り上がっている。
4人だけの空間
背後の男が気になって落ち着かない。
あの日から、キスしてくる箇所、場所は定まらず、隙を突いてキスをしてくるのだから油断できないのだ。
エレベーターが到着し、前の2人は会話したまま降りていく。
私も、と足を一歩踏み出した時
ドアが閉まっていく。
うそ…
背後にいた彼が、ドア横とは違う壁にある閉ボタンを押したのだ。
「あっ、間違えた」
わざとらしい声で降りた2人に聞こえるように叫んでいた。
振り返る2人の影になる男は、私の耳朶を唇で食んでキスしていく。