ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
「あ、あった。なんか、恋愛コンシェルジュマスターっていうのがいるみたいよ」

明日菜はスマホの画面を見せてくれた。

あるまとめサイトの中に『恋愛成就100%!? 謎の恋愛コンシェルジュマスターとは』と書かれた記事を開いてみせてくれた。

「恋愛コンシェルジュマスター、なにそれ」

「いろんな恋の提案をしてくれるっていう人なんだって。でも、特別な人しか提案してくれないんだって」

「そうなんだ」

「でも、その提案通りにすると、恋が100%成就するらしいって」

「そっかあ。わたしには無理かな」

「無理って。実際会ってみなきゃわかんないじゃん。ごめん、これ都市伝説のひとつみたいだった。段階をふまないと会えないみたい」

恋愛コンシェルジュマスターねえ。一度会って聞いてみたい。

どうしたらわたしに恋愛できるのか。

「どこかの夢みる人が勝手にでっちあげた話をネットに書き込んだだけかもしれないけど、もしそういう人がどこかにいたら変われるかな、わたし」

「ちょ、ちょっと本気にしないでよ。ただの都市伝説か、気の早いエイプリルフールネタだったりするかもしれないんだから」

明日菜は笑ってごまかしながら、スマホをカバンに戻した。

夢見がちはわたしも同じだ。

藁にもすがる気持ちで、どこかにいる恋愛コンシェルジュマスターに出会いたいと心の中で思い始めた。
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