ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
沈黙に耐えきれなかったのか、話しかけたのは桐島課長のほうからだった。
「この間の本、読んでる?」
「え、あ、まだ……」
「そっか。催促してしまって悪いね」
桐島課長が少しがっかりした様子で頭を掻いていたので、ちょっと焦ってしまった。
「そ、そんなことはないです。必ず貸しますから」
わたしの答えに桐島課長はにっこりと笑顔を返してくれた。
「無理しなくていいよ。ゆっくり読んでからでいいから。そういえば、二階堂重彦の息子が文壇デビューしてたんだっけ。星野くん、知ってた?」
「そうなんですか? まったく知らなかったです」
だってずっと二階堂重彦の小説ばかりを追いかけていて、息子の存在すら知らなかったから。
「確か、二階堂月彦だったっけな。その息子も父親同様恋愛小説家らしい」
二階堂重彦の息子も小説家を目指していたんだ。
あれだけテレビや雑誌なんかで顔出しをせずに黙々と作品を出して名を残しているから自然と息子もその道へと向かうか。
「今度、二階堂月彦の作品、みつけて読んでみようと思うよ。面白かったら貸すから」
「え、いいんですか?」
「本の話が好きな星野くんだからだよ」
そういうと、桐島課長はお茶のペットボトルを口につけ、喉を鳴らして飲み干していた。
「それじゃ、午後もよろしく」
といって、桐島課長はさっさと非常階段から扉を開けて中へと入っていってしまった。
「この間の本、読んでる?」
「え、あ、まだ……」
「そっか。催促してしまって悪いね」
桐島課長が少しがっかりした様子で頭を掻いていたので、ちょっと焦ってしまった。
「そ、そんなことはないです。必ず貸しますから」
わたしの答えに桐島課長はにっこりと笑顔を返してくれた。
「無理しなくていいよ。ゆっくり読んでからでいいから。そういえば、二階堂重彦の息子が文壇デビューしてたんだっけ。星野くん、知ってた?」
「そうなんですか? まったく知らなかったです」
だってずっと二階堂重彦の小説ばかりを追いかけていて、息子の存在すら知らなかったから。
「確か、二階堂月彦だったっけな。その息子も父親同様恋愛小説家らしい」
二階堂重彦の息子も小説家を目指していたんだ。
あれだけテレビや雑誌なんかで顔出しをせずに黙々と作品を出して名を残しているから自然と息子もその道へと向かうか。
「今度、二階堂月彦の作品、みつけて読んでみようと思うよ。面白かったら貸すから」
「え、いいんですか?」
「本の話が好きな星野くんだからだよ」
そういうと、桐島課長はお茶のペットボトルを口につけ、喉を鳴らして飲み干していた。
「それじゃ、午後もよろしく」
といって、桐島課長はさっさと非常階段から扉を開けて中へと入っていってしまった。