ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
「あ、あの」
「古本市でチラシをご覧になってこられたんですよね?」
「え、ええ。そうですけど……」
それよりも二階堂重彦の続編が気になってきましたって言えないなんて。
「聞いたことがありませんか。申し遅れました、こういうものです」
そういって名刺入れから取り出し、差し出された名刺をみてドキッとした。
「はじめまして。恋愛コンシェルジュマスターの二階堂月彦ともうします」
「あなたが……。ていうか、あの新鋭恋愛小説家の?」
小説家の話を出すと、二階堂さんは照れくさそうにニコっと笑ってくれた。
「まだ新人なので小説家と大々的に名乗る権利はありませんが、兼業で文筆業をさせていただいています。コンシェルジュマスターが本業なのかもしれませんが。まずは私が所蔵するすべての本のなかであなたに見合ったマニュアルをお探しします」
「マ、マニュアル?」
「まずは中へどうぞ」
「あ、あの。二階堂重彦の小説についてお尋ねしょうと思ってこちらへ来ただけで」
「本当にそれだけですか?」
二階堂さんは、わたしの顔をじっと見つめた。
やばい。
見透かされている。
「とにかくお話はじっくり聞かせてもらいますから、中へとどうぞ」
先ほど二階堂さんが出てきたドアの隣に紫のカーテンで区切られた入り口があった。
二階堂さんはカーテンを引き、わたしを中へと導いた。
「話でもどうですか? もちろんお金はいただきませんから」
屈託のない笑顔をみせられ、導かれるように、カーテンの向こうへと進んでしまった。
「古本市でチラシをご覧になってこられたんですよね?」
「え、ええ。そうですけど……」
それよりも二階堂重彦の続編が気になってきましたって言えないなんて。
「聞いたことがありませんか。申し遅れました、こういうものです」
そういって名刺入れから取り出し、差し出された名刺をみてドキッとした。
「はじめまして。恋愛コンシェルジュマスターの二階堂月彦ともうします」
「あなたが……。ていうか、あの新鋭恋愛小説家の?」
小説家の話を出すと、二階堂さんは照れくさそうにニコっと笑ってくれた。
「まだ新人なので小説家と大々的に名乗る権利はありませんが、兼業で文筆業をさせていただいています。コンシェルジュマスターが本業なのかもしれませんが。まずは私が所蔵するすべての本のなかであなたに見合ったマニュアルをお探しします」
「マ、マニュアル?」
「まずは中へどうぞ」
「あ、あの。二階堂重彦の小説についてお尋ねしょうと思ってこちらへ来ただけで」
「本当にそれだけですか?」
二階堂さんは、わたしの顔をじっと見つめた。
やばい。
見透かされている。
「とにかくお話はじっくり聞かせてもらいますから、中へとどうぞ」
先ほど二階堂さんが出てきたドアの隣に紫のカーテンで区切られた入り口があった。
二階堂さんはカーテンを引き、わたしを中へと導いた。
「話でもどうですか? もちろんお金はいただきませんから」
屈託のない笑顔をみせられ、導かれるように、カーテンの向こうへと進んでしまった。