ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
その後もなぜか自分からポンポンと恋について話をした。

「今回は本気なんだと思います。気合いというか、気持ちに嘘がないというか」

「今までは?」

「流されるまま、恋愛しなくちゃいけないっていう義務みたいな感じですかね。周りが彼氏持ちだったっていうのもあって、わたしもその波にのろうと思っていたから躍起になっていたかもしれません」

「で、今は?」

「もう失敗したくないっていうか、この人だっていう確信がついたっていうか」

ゆらゆらと揺らめくランプの向こうの二階堂さんは絶えず笑顔をみせて、わたしの話を聞いてくれた。

二階堂さんだから言いたくもなかった恋愛の話をするすると話をすることができたのかもしれない。

「それで、どんな恋愛がお好みですか? ロマンチックな恋、それとも刺激的な恋?」

「なんでもいいです」

「なんでも?」

二階堂さんは目を丸くし、首をかしげた。

「ちゃんと恋愛をしたことがないので、どういった感じっていっても正直、想像がうまくできないっていうか」

「単純に恋愛することで達成しようとお考えですか。たとえばよくあるベタな設定の恋愛とか」

どういうものがお手本なのか、知りたい。

だからたとえ世の中のいうベタな恋愛だっていい。

それで恋愛が成就するのなら。

「そ、それです。ベタな恋で構いません。それで恋愛がうまくいくなら」

「わかりました。おのぞみ通りにしましょう」

二階堂さんは上目遣いになり、テーブルの上に腕を乗せ、指を組む。

そして、一呼吸すると、声を発した。

「審査合格です」
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