ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
「審査って」

今までの話ってずっと審査されてたってこと?

二階堂さんはソファから立ち上がると、入り口に立ちスイッチを押す。

部屋の蛍光灯が光り出し、まぶしく思わず目をつぶった。

「面談審査をさせていただきました」

二階堂さんの声で目を開ける。

二階堂さんはわたしの前に座り、安心させるためか、笑顔をくれた。

「恋愛コンシェルジュマスターもあくまでビジネスの一環としてやっていることで、ボランティアでやっているわけではないんですよ」

そうだよね。

二階堂さんだって社会人なんだから対価から報酬はもらわないとね。

「面談審査によって合格、不合格を決め、さらにそこから通常受講生と特別受講生と分けているんです」

「通常受講生と特別受講生……」

やっぱりね。そうやってわたしはあやしい輩にカモにされるんだ。

二階堂作品について話を聞こうと思っただけだから、さっさと話を切り出して帰ろう。

話を切り出そうと思った途端、二階堂さんは仕草がわかったのか、まだ話の続きがあります、と前置きをした。

「星野さんはもちろん特別受講生です」

「え?」

「通常の方は恋愛に乗じていて、さらに上を目指したい方向けなんですけど。特別受講生はお代はいただきません。その代わり」

「その代わり?」

「恋愛が成就するまで、あなたの恋愛経験のレポートを提出していただきます。それが条件です」

「レポートって」

「星野さんの恋愛の状況をくまなく把握して、それから助言していくというシステムです」

完全なバックアップ体制でわたしを支えてくれるってことか。
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