ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
5歳下の妹の心々実は物心をつく頃からすでに近くに男の子がいて、学生になってからは気がつけば別の男の子と付き合っていた。

姉の彼氏いない歴が増えるたびに嘆いているけれど、付き合う男の子が全員平均クラスだったりするので別にどうでもいいかな、と思いつつも反面はやっぱり羨ましかったりする。そんな心々実はこれまた好きな男子と上京し、同じ大学に通いつつ、すでに同棲を始めている。

母も父もわたしの彼氏のなさに最近は彼氏関係の話をわざとかしらないけれど触れなくなった。

言われなくなっただけましだけど、それでも両親に気を使われるなんてちょっとつらかったりもする。

恋愛に力を注げなかった分、勉強へ自分の力を注いでそれなりのいい高校、いい大学に進学し、国内トップシェアを誇る工業機械技術産業の総務課の事務として配属された。

文系のわたしが機械系の会社に入ったのは自分でも信じられなかったけれど、大学の推薦もあったし、東京ではない地方都市にある会社に惹かれたのがきっかけだ。

上京したからって自分の状況に変わりがあるわけでもない。

周りの同級生は就職を東京やその近郊で勝ち取り、引っ越していってしまったけれど、東京に特別な想いもなく、このままおひとりさまで生きて行くには住みなればこの土地のほうがいいのかな、と流れるように決めたのが本音なのかもしれない。

とは言うものの、地元とはいえさすがに独立はしたほうがいいと思って両親にお願いして独立をしたんだけど。

会社は市内よりも北、山間に近い平地に工場を併設している。

山間にもかかわらず電車もバスも商業施設もにぎわっているのは、やはり国内トップシェアを誇る会社のおかげであるといっても過言ではない。

わたしは会社から歩いて10分くらいにあるマンションへと引っ越した。
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