ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
市内の中心部と違って山に近いということもあって田んぼや畑、いろんな草花や緑に囲まれ、のどかではあるけれど、それでも生活に事足りる施設が充実していたこともあって、新幹線の駅がある市内中心部に行くぐらいであとは会社とマンション、商業施設の往復だ。

楽しみといえば電車に揺られて市内の中心部に住んでいる友人とデパートへ買い物へいったり、ご飯を食べたりお酒を飲んだりするぐらいで、それ以外はマンション付近をふらつけば事足りる。

まちの中を流れるゆっくりとした空気が自分にあっているのかもしれない。

都会にいった友達はこの空気を刺激が足りなくてきっと物足りなく感じるんだろうな。

もう恋ができない以上、この地元のゆっくりとした流れにそまって自立していかないと。

好きな人と別れてからますます一人で生きていかなくちゃいけないんだという焦りを感じていた。

休日、近所の商業施設内にあるテナントめぐりをしても、やっぱり目にとまるのは最新ファッションでも最新コスメでもなく、男女のカップルだ。

部活帰りだと思われる同じ色のジャージを着た男女の学生カップルやら、近くの大学に通っているであろう私服もばっちり決まった男女、年相応のシンプルな洋服で手を絡ませあいながら歩いていく社会人カップルなど。

みていて本当に幸せそうにうつっている。

わたしもいつかは彼氏といろんなところへいくけれど、最終的にはお店をぶらついているだけで幸せを噛み締められるデートがしたい。

ぎゅっと心に欲望をしまい込み、わたしは本屋へと向かう。
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