ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
課のみんなで手分けして再入力をすすめ、順調にマニュアルデータが仕上がってきた。

幸い、緊急での受注発注が入ってこなかっただけありがたかった。

「なんとか終わらせましたー」

染谷さんはほっとした表情を浮かべている。

予想の通り、3日かかってバックアップデータを修復できた。

「これからは気をつけなさい」

と牧田先輩はぴしゃりと強めにいうと、

「これからはこまめにやっていきます」

と染谷さんは反省した様子で牧田先輩に謝っていた。

これでマニュアル作りは終わりではなく、まだ新しい型式のデータとの引き合い作業も残っており、7月に完成するまでにも気を許さない状況が続く。

仕事が忙しいなか、桐島課長は出張やら会議やらで顔を合わす機会が減り、午後に自分の席からチラ見するぐらいだった。

もう少し機会を増やしたいけれど、二階堂さんに相談したところでその機会が増えることもないので、二階堂さんには機会をうかがっているところですとメールを打っておいた。

その後、二階堂さんからも焦らずに相手の行動をチェックすることと返信があった。

6月も終わりに近づいた頃、資料をとりに書庫へいった帰り、総務課の前の廊下で親しげに話している桐島課長と牧田先輩の姿があった。
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