ベタ恋!〜恋の王道、ご教授願います〜
「よくやりましたね」

土曜日の午後、月星書房へ向かった。

本当ならコーヒーチェーン店でお茶をしながら話をしたかったけれど、周りの目もあることから月星書房にしたいとリクエストをしたところ無事かなった。

店の奥の部屋に通されたけれど、誰か相談に訪れたのだろうか。部屋からはお香の残り香がした。

二階堂さんとテーブルに向かい合わせに座る。

二階堂さんの顔をみた瞬間、緊張感から安堵にかわって、ほっとした気持ちになった。

「ここで言わないと終わっちゃうと思って」

「メールにありましたが、僕がついていると思っていたからなんですね」

「はい。心強い味方がいると思って」

「そう思ってもらえて光栄ですよ」

二階堂さんはニコッとさわやかな笑顔をくれた。

「しかし、気になりますね。星野さんの先輩」

「はい。でもわたしの勘違いかもしれないし」

「星野さんの先輩と課長さんは同期なんでしょ?」

「そうなんですけど。最初課長が異動してきたときはものすごく不機嫌だったのが、突然がらっと変わっていて」

「注意してください」

二階堂さんの顔が急に険しくなった。

やさしい表情から険しい表情にかわったので、急に不安な気持ちになった。

「もしかして先輩さんは課長さんのことを考えているかもしれません」

「そ、そうなんですか?」

「対策を練ります。まずは課長さんのことを一番に考えてください。予想外のことが起こったらすぐに相談してください。対応しますから」

「ありがとうございます。気をつけてみます」

二階堂さんはうん、と軽く頭を縦に振る。

二階堂さんに相談できて本当によかった。牧田先輩の動向を気にしつつ、課長のこともきを配らないと。
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