サヨナラケイジ
「・・・すぐには決められません」


決められない理由はひとつ。

それが結城を裏切ることになりそうで。

レポーターは、一瞬目を細めて私を見たが、

「じゃあ、3時に屋上で」

と、言った。


「え?」


「今から学校の屋上に行くわ。そこで待ってる。琴葉ちゃんたちも学校に行くんでしょう?」


「な・・・・・・」


やっぱりこの人、私たちの会話を聞いてたんだ。

情報を教えるのも、私たちが推理してるのを聞いてたから。


カッとほほが燃えた。

なにか言ってやろうと口を開く私に、

「寺田 美知枝」

と、レポーターが言った。


「は?」


「私の名前。寺田 美知枝って言うの。3時までは屋上にいるから」


「・・・でも」


「さすがに局にも言ってない情報だから、3時を過ぎたら戻らなきゃ。だから、その時間がタイムリミットにしましょう」


そう言うと、歩き出してゆく。


「行くかどうかわかりませんよ」


少し大きな声でそう言うが、ふり返ることもなく軽く右手を挙げてヒールを鳴らして去ってゆく。
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