サヨナラケイジ
セミの鳴き声が山の方から幾重にもかさなって聞こえている。


「ね、どうすればいいと思う?」


返事がないのにしびれを切らせて尋ねると、よしこちゃんは空をあおぎ見た。


「情報はほしいわね」


「情報?」


「そう。その寺田って女、ほんといけすかない感じだけど、本人が言うようになにかしらのスクープ情報は持っていると思うわ」


「うん」


「だったら、それを聞かないと」


当然のようによしこちゃんは言い切った。


「でも、明日テレビ見ればやるんじゃないの?」


そう。

寺田は明日発表する、って言ってたし。

そこまで待っても、そう時間は変わらないようにも思えた。


「全部はやらないでしょ。大きなネタならなおのこと、小出しで引っ張ると思うわ」


「そっかぁ。確かにそんな気もする」


「屋上に行きなさいよ」


そう言うと、よしこちゃんは足を止めて私を見た。

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