サヨナラケイジ
「・・・開いてる」


一気に外の光が目に飛びこんできてまぶしい。

屋上のアスファルトに踏み出す。

見たところ誰の姿も見えない。

大声を出して先生に見つかってもイヤなので、ゆっくりと広い屋上を歩いてゆく。

視界のどこにも寺田の姿は見えない。


やはり寺田はいないのだろうか?


いくつか屋上に通じる扉がある部分。

そこは四角の箱のようになっていて、後ろの部分は見えないのでひとつずつ見て回ってゆく。

それでもどこにも寺田の姿は見えなかった。


「おかしいな・・・・・・」


まだ約束の時間までは間があるはずだけど、ひょっとしたら気が変わったのかな。

そんなことを思いながら最後の扉部分までやってきた私は、そこに違和感を感じた。

なにかブルーの扉についている。

近づいてみると、扉のノブの部分に黒いものが付着していた。


いや、光の反射を自分の体でさえぎると、それは黒ではなく赤黒いものだった。


これは・・・・・・。
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