サヨナラケイジ
ぴちゃん


「あ・・・ああ・・・・・・」


真っ赤な服を着ているんじゃない。

血で・・・・・・血で染まっているんだ!

それに気づいた私は、その場でしり餅をついた。

足から力が抜けたのだ。

それでも、寺田から目が離せない。


「ひゃあああああああ!」


気づいた時には叫んでいた。


「イヤ、イヤあ!」


その場から逃げたいけど、全然足が動いてくれない!

ジタバタと足を動かしているだけしかできなかった。


『琴葉、おい!』


その声に我に返った私は、スマホを耳につけた。


「結城さん助けて! 寺田さんが、寺田さんがっ!」


声の限り叫んだ。

そして、そこからの記憶があまりない。

覚えているのは屋上の扉が勢いよく開く音。
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