サヨナラケイジ
「・・・・・・?」

不思議に思って目を開けると、呆然とした橘の横顔があった。

信じられないものでも見たように目を見開いて、入り口あたりを見ていた。

コップからあふれた水がコンクリートを濃く染めている。

視線の先に目をやると、そこには・・・・・・。


「残念だよ」


いつのまにか結城がいた。


「結城さん!」


「琴葉、待たせたな」


視線はそのままにぶっきらぼうに言う結城は、拳銃をまっすぐに橘に向けていた。


「結城・・・・・・最後まで、最後まで俺のジャマをするのか?」


「そうらしいな」


結城が静かに言った。


「・・・ふざけるなよ」


グイと体が引っ張られたかと思うと、私の体は橘の腕の中にあった。

私を盾にして、橘が結城と向かい合う。



銃口は私の顔に。

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