イジワル上司に焦らされてます
「……私は、マキがデザイナーとして凄く頑張ってたの、ずっとずっと見てきたから」
「……うん」
「私にとっては、マキも尊敬するデザイナーの1人で、それはこれからもずっと、変わらない」
涙を堪えて笑顔でそう言えば、マキは一瞬キョトンと目を丸くした。
「─── マキ、結婚おめでとう」
けれど、私がそう声にした瞬間。
今度はまるで、花が咲いたように可愛らしく、それでいてとても綺麗に、笑って。
「ありがと、蘭。 大好き」
そう。
鈴の鳴るような声で言葉を紡ぐと、スッカリ泡の消えてしまったビールの入ったジョッキを手に持ち、私の手元にあったグラスにぶつけて、
「蘭のこと、ずっと応援してるからね」
そう言って、やっぱり楽しそうに笑った。