イジワル上司に焦らされてます
 


「はぁ……もう、なんなの……」



その通常運転に、ほんの少し不満を感じた私は末期だと思う。

別に、送り狼を期待していたわけではないし、不破さんだって出張帰りで疲れていたこともわかっているけれど。

それでもなんというか、あまりにいつも通りで余裕たっぷりだから、ドキドキしているのは自分だけなのかもしれないと子供みたいなことを考えてしまった。



「ハァ……」



ホントに、何やってんだろ、私。

散々悩んだ挙句に、【送ってくれて、ありがとうございました。】とメールを送れば、【どういたしまして】という、色気も素っ気もないメールが返ってきて。

そこから何を送ればいいのかわからなくなって結局、土日を越えて今日まで一度も連絡しなかった。

……もちろん、不破さんからの連絡も、ただの一度もなかったわけだけど。



「本当に、なんなの、これ……」



同じような言葉ばかりを繰り返しながら、予想外の自分の乙女思考に呆れる。

多分だけど、私たちは金曜の夜を境に、一応 " 上司と部下 " から " 恋人同士 " になったはずだ。

不破さんから明確な何かを伝えられたわけじゃないけど、アレは、そう受け取っていいんだよね?

私の知ってる不破さんは、女の人相手に不誠実なことをする人じゃないし……全部、私の自惚れなんかじゃないよね?

 
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