イジワル上司に焦らされてます
心の中で独りごちながら、もう何度目かもわからない溜め息を吐き出した。
これ、なんのために悩んでるんだろう。かなり不毛な悩みのような気もする。
何より自分の中に、こんなに乙女的な部分が残っていたのかと驚いてしまう。
「……バカみたい」
もう、これ以上考えても仕方がない。これから仕事なんだから、余計なことだけは考えないようにしないと。
とりあえず、仕事中はいつも通りでいくこと。
不破さんとも、いつも通りを心掛けよう。
再び心の中で独りごちて、チーン!という軽快な音と共に開いたエレベーターの扉を前に気合いを入れた。
「よしっ、オッケー!」
「何がオッケーなんだよ」
「ヒッ……!!」
だけど、今まさにエレベーターに乗り込もうと足を踏み出した、瞬間。
突然背後から声が聞こえて、私はお化けでも見たかのように悲鳴を上げるとその場で固まり全身を強張らせた。
恐る恐る後ろを振り返れば、案の定、そこには予想通りの人がいて、今度こそ背筋が凍る。