イジワル上司に焦らされてます
「そういえば、神戸はスイーツ関係も、かなり力を入れてるんだよなぁ」
「ですね。お陰で土産探しには苦労しませんでしたよ」
「おっ、待ってました! さすが不破、気が効くねぇ」
「……買ってこないと、カニさん文句言うじゃないっすか」
調子の良いカニさん相手に不破さんは呆れたような息を吐き、鞄と一緒に持っていた白い十字マークの入った赤い紙袋を差し出した。
それを満足そうに受け取ったカニさんは、早速紙袋の中へと手を入れる。
「おはようございますー。あれ、カニさん、何やってるんですか?」
ちょうど、そのタイミングで出勤してきたのはサルさんで、朝からガサゴソと紙袋を漁るカニさんを前に不思議そうに首を傾げる。
「おー、サル、おはよう。今、不破からの神戸土産を確認しようとしてたところでさ」
「ああ、なるほど。不破くん、出張、お疲れ様。現場はどうだった?」
「上々です。その土産、会社の皆さんになんで、サルさんも食べてください」
「ありがとう。でも、そんな気を遣わなくて良かったのに。……ああ、これ、神戸で結構有名なお店じゃない? 前に、嫁が旅行のお土産でここのチーズケーキ買ってきてくれて、食べたことあるよ」
「……チーズケーキ?」