イジワル上司に焦らされてます
言葉と同時に、重ねられた唇。
強引かつ、性急に奪われた唇に、思わず息の仕方を忘れた。
いつの間にか抱き寄せるように肩へと廻された腕。
逃げることは許さないとばかりに後頭部にあてがわれた手が、私の理性の邪魔をした。
「不破、さ……、誰か来たら……っ」
「……黙ってろ」
何度も何度も、離れては塞がれる唇。
不破さんが言った通り、今誰かがエレベーターホールにあるボタンを押したらと思うと、冷や汗が背中を伝った。
けれど、今はそんな理性の糸を繋ぐことすら、私にはできない。
いつもとは違い、どこか余裕のない不破さん。
強引なのに優しい彼に、私も着いて行くのが精一杯だ。
「…………んっ、」
─── どれくらい、お互いの熱を求めていたかはわからない。
いつの間にか深く、溺れるように重ねていた唇はようやく酸素を十分に取ることを許されて、名残を惜しむように離れていった。
瞬間、全身から力が抜けた私が不破さんへと身体を預ければ、彼は私を抱き留めたまま、どこか満足そうに微笑む。