イジワル上司に焦らされてます
……本当に、嫌になる。嫌われたとか、落ち込んでたとか、思ったに決まってるでしょ。
誰でも、あんな風に叱責されたら落ち込むに決まってる。
それが、つい最近気持ちを自覚したばかりの相手であれば尚更。
「確かに……不破さんの言うとおり、カジタ本社に向かう途中までは、もう色々ダメかもしれないとか思ってました」
「だろうな」
「全部、自業自得だから仕方ないです。でも……いつもの不破さんは仕事とプライベートを混同する人じゃないので、あれは上司としての不破さんが、バカな部下の失態を怒ってくれたんだってことくらい……バカな私でも、流石にわかります」
……本当は、叱責された直後は不破さんの言うとおり、もう嫌われたとか思って、最悪このまま自然消滅かもしれないなんてことまで頭が過ぎったけれど。
それよりも、仕事のことで頭の中がいっぱいで、当たり前だけど私たちの関係の行方まで考えている余裕はなかった。
……不破さんの顔を、見るまでは。
でも……不破さんの顔を見た瞬間、焦りと同時に心の底からホッとして、気が付いたんだ。
だって私は、誰よりも知っているから。
上司である不破さんのこと。この7年、誰よりもそばで見てきたから、ちゃんとわかってる。