イジワル上司に焦らされてます
 



打ち合わせ前に、不破さんに企画書をチェックしてもらった時、「お前が言うと、やけに説得力があるな」なんて言われたけど。


気軽に身体に良いものを楽しむことのできるカフェがあれば、私としては毎日でも通いたい。



「加えて、何気ない日常に、ほんの少しのプラスになる時間を提供する場所であること……という意味も、持たせました」


「なるほど……いいですね。僕としても、お客様が親しみやすい名前が一番だと思うし、プラスという名前なら意味もわかりやすくて親切だ」



言いながら、柔らかに微笑む辰野さんは、今日も羨ましいくらいに長い指を顎の下で組む。



「前々回の打ち合わせで、オーガニックコーヒーやハーブティーの種類を充実させるという話を聞きましたし、無農薬野菜や果物を使ったドリンクも数種類出せるとのことでしたので、そういう強みを前に出す意味でもこの名前はわかりやすいかと思います」


「確かに、そうですね。今の話を、僕の方から上に話してみます」



そう言うと、トン、トン、と。

軽快な音を立て、私が持ってきた企画書と資料を整える彼を見て、思わず心の中でガッツポーズした。


ネーム案、ロゴ案と合わせて、ここで一気に承諾まで漕ぎ着けることができればスケジュール的にもかなり余裕が出る。


 
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