シンデレラとサッカー王子
二人は偶然出くわし、
互いの食べっぷりを張り合う内に、
いつの間にか対決になってしまったのです。
「すごい……あんなに美しいのによく食べる。
あのトニーと張り合えるなんて……」
「あの細い体に、
どうやって入っていってるのかしら?」
「一体どこの国の姫君なんだろうか……
見たことないぞ」
王子&大臣
『………………』
王子様と大臣までも、
大食い二人を止めるのを忘れ、
見物客達と一緒に
ついつい見入ってしまいました。
トニー
「……ぐっ、うっぷ……もはやこれまでか……」
ドターーン!!
やがてトニーは、食べ過ぎて苦しくなり、
とうとう倒れ込んでしまいました。
見物客達
『おー!あのトニーが負けたぞー!!』
シンデレラ
「はぁ~やっと勝ったぁ~!」
シンデレラは、ガッツポーズをして大喜び。
どこからか、お城の兵士らがやってきて、
巨漢のトニーを重そうに
タンカーで運んでいきました。
即興の大食い大会が終わると、
王子様と大臣はハッと我に返り、
シンデレラの元へ駆け寄りました。
大臣
「も、もし!そなたは何者だ!
どこかの姫君か!?」
シンデレラ
「いいえ。私はただの一般庶民です」
大臣
「一般庶民がそんな美しいドレスを
まとってるのか」
シンデレラ
「あぁ、これは魔法……」
と言い掛けたところで、
言ってはマズイと思い直したシンデレラは……
シンデレラ
「魔法……のように作ってもらったんです。
近所のお姉さんに……」
無理がありましたが、
なんとか言い換えました。
大臣
「近所のお姉さんが!?すごい器用だな。
いやしかし、そなたはよく食べるのだな……」
シンデレラ
「はい。私、食べる事が大好きなんです♪
どうも、お騒がせしてすみませんでした。
料理、とーっても美味しかったです♪
では私はこの辺で……
はぁ~食った食ったぁ~♪」
料理をたらふく食べて満足したシンデレラが、
腹をポンポン叩きながら立ち去ろうとした、
その時……
王子
「あっ……待って下さい!」
さっきまで黙って見ていた王子様が、
シンデレラを呼び止めました。