ラブ アゲイン
「ってか、お前、5年前の同窓会何で来なかった?」

何を思い出したのか、佐久間がいきなり声を荒げた。

「白鳥!お前もっ!」

「えっ?私?私は新人研修で山奥に軟禁されてた……」

菜々は就職先の新人研修に参加していて、同窓会には出席しなかった。

「だからぁ、何度も言ったろうが、俺は海外。
その事の為に帰国できっかよ。お前飲み過ぎ」

濱田は呆れた顔で佐久間を見た。

「で?いつ帰国したんだっけ?」

「はぁ?お前、酔ってんのか?去年の末。年始に飲んだだろ?」

2人の会話で菜々は初めて濱田が海外赴任していた事を知る。

濱田が勤める会社は、その昔財閥と呼ばれていた一族のグループ会社。

あの頃、菜々もその企業に就職希望していたが、最終面接迄たどり着けなかった。


5年前って、社会人1年目って事?
そんなペーペーの新人が海外赴任……
きっと濱田は優秀な人材なんだ、やっぱり私の敵う相手ではない。


「だってさ」

テーブルを人差し指でトントンする佐久間。

「えっ?何?」

慌てて顔を上げて向いに座る佐久間を見ると、薄ら笑いを菜々に向ける。

「だぁから、こいつ、しばらく日本に居なかったってさ」

佐久間は改めて言う。

菜々は何が言いたいか判らず、眉間に皺を寄せた。


「天地ぃ?大丈夫かぁ?」

佐久間は濱田を一瞥し、座敷の方へ行ってしまった。


「やっぱり日本が一番だわ」

濱田と二人ぼっちの状況に内心焦る菜々に、濱田はだし巻き卵を一切れ摘まんで口に放り込む。

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